健康な状態から、お口の機能に障害が出てしまっている状態へと移行する手前の、お口の(オーラル)機能が弱ってきている(フレイル)状態のことを指します。

 この段階で早期に気付き、対策をとれば、悪化を予防し健康な状態へ近づける、という考え方です。

 お口の機能と、全身的な衰えには関連性が高いという事もわかってきています。お口の機能の衰えが全身の機能の低下を導き、さらなるお口の機能の低下、そして社会性の低下へと進んでいく可能性が高いのです。お口の側から機能を健全に保つ事が、全身の機能を良好に保つ事へもつながっていくのです。

 オーラルフレイルは、僅かな変化から始まります。例えば以前と比べ、少し話しづらい、うまく食べられない、といった事です。歯科的な病気があれば、早期発見、早期治療が重要な事はもちろん、加齢による段階的な機能の低下もできるだけ防いでお口の機能障害に繋がらない様にしないといけません。

 特に、虫歯や歯周病で必要な歯を失ってしまうと一気にお口の機能障害へと近づいてしまいますので、予防する事が大切です。日本歯科医師会では、80歳でご自身の歯を中心として食事ができるよう20本以上の歯を保とうという8020運動を平成元年から厚生労働省と協力しながら行なっていますが、達成者は当初の数%から50%を超えるところまで増えてきました。

 また、8020を達成できなかったとしても、義歯であってもこれを用いて噛む事で、全身の栄養状態も良好になり、認知症のリスクも軽減する、という調査結果も出てきています。

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