オーラルフレイルとは
[ オーラルフレイルとは? お口の健康を守るために]
最近、「フレイル」という言葉を耳にする機会が増えてきました。フレイルとは、健康と病気の中間の状態のことで、「虚弱」とも呼ばれます。この状態なら、適切な対策を取ることで健康な状態に戻る可能性が大いにあります。このフレイルの概念でお口に着目したのが「オーラルフレイル」です。お口の健康は、全身の健康に深く影響を与えるため、今、大変注目されています。
■ オーラルフレイルの初期サイン
オーラルフレイルは、日常生活のちょっとした変化から始まります。以下のような兆候に気づいたら、それが初期サインかもしれません。
- 話すときに言葉がスムーズに出てこない
- 食事中にうまく噛むことができない
- 歯ぐきからの出血や口臭が気になる
- 噛み締めや口呼吸が習慣化している
これらの変化に気づいたときが、予防や対策を始める大切なタイミングです。
オーラルフレイルを防ぎ、お口の健康を保つためには、次のような習慣が効果的です。
- 歯磨きを徹底しましょう 食後は丁寧に歯磨きを行い、虫歯の予防効果があるフッ素(フッ化物)入りの歯磨き粉を使うことをおすすめします。また、歯ブラシだけではなく、
デンタルフロスや歯間ブラシを使うことで、歯と歯の間もしっかり清掃しましょう。
- よく噛んで食べる習慣をつける 食事の際に十分に噛むことで、消化を助けるだけでなく、唾液の分泌を促し、お口の健康を保つ効果があります。
- 正しいお口と舌のポジションを意識する 口をぽかんと開けたままでいたり、噛み締める習慣は避けましょう。上と下の歯はわずかに接していなくて、舌は上あごに軽くついて
いるのが理想です。これにより、口呼吸や歯へのストレスを防ぐことができます。
- お口や舌の体操 唾液やその他お口の機能の改善には体操も効果的です。
■ 定期的な歯科検診と治療の必要性
お口の健康は、セルフケアだけでは限界があります。虫歯や歯石、歯周病といった問題が進行してしまうと、日常的なケアでは改善が難しくなります。そのため、定期的な歯科検診を受け、早期発見・早期治療を行うことが重要です。また、歯を失うことで噛む力が低下し、全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
■ 全身の健康との深い関連
最近の研究により、オーラルフレイルと全身のフレイルが密接に関連していることが明らかになっています。お口の機能が低下すると、食事や会話が難しくなり、栄養不足や社会性の低下に繋がることがあります。お口の健康を守ることは、全身の健康を守るための第一歩です。
■ 8020運動とは?
日本歯科医師会と厚生労働省が共同で進めている「8020運動」は、80歳になっても20本以上の歯を保つことを目標とした取り組みです。この運動が始まって以降、達成率は年々向上しており、今では新たに85%を目指しています。健康な歯を保つことで、生涯にわたっておいしく食事を楽しむことができるのです。
■ お口の健康は一生の財産
お口の健康を維持するためには、日々のケアが欠かせません。しかし、自覚症状が少ないことも多いため、些細な変化にも注意し、かかりつけの歯科医に相談することをおすすめします。予防、早期発見・治療、そして失われた機能の回復に取り組むことで、いつまでも健康で豊かな生活を送ることができます。