出産後の歯科検診も大事です

 “そんなこと言われても2時間おきの授乳やおむつ交換でフラフラ。とても歯を磨いているヒマなんてありません!”って声が聞こえそうです。本当に大変ですよね。お母さんにとっては赤ちゃん優先でご自分のことは後回しになりがちです。でも、妊娠性歯肉炎という病名もあるくらいで、妊娠中に歯肉の状態が悪化してしまう場合がとても多いのです。

赤ちゃんのむし歯菌はどこから来るの

 生後間もない赤ちゃんの口にはむし歯菌や歯周病菌はいないのに、なぜか歯がはえてしばらくすると見つかるようになります。どうやら同じお箸やスプーンで食べさせたり、チュッとしたりで大人から、また集団生活の中などでも伝染するらしいです。
 えっ!怖い…と思われるかもしれませんがあまり過剰に心配してしまいお子さんの心身の発育の妨げになってもいけません。感染経路は100%明らか、というわけでもありませんが、なるべく生の唾液で汚染されていると思われる物は赤ちゃんと接しないようにしましょう。そして、できるだけ感染の予防、虫歯や歯肉炎の予防を心がけてあげて下さい。また、ご家族のむし歯や歯周病を早めに治療することも大切です。

 妊産婦検診で虫歯や歯周病が見つかったけれど怖く感じられたり、体調が優れなかったり、薬が心配で、十分な治療ができなかった方や、なんとなく歯が弱ったように感じられる方はもちろんですが、なにも気にならなくても、赤ちゃんの歯が生える前のできるだけ早い時期に、産後のお母さまを始めご家族の歯科検診を受けることをお勧めします。

 ただし、産後1ヶ月くらいまでは緊張の強い時期ですので、治療中の症状が増したり痛みが長引くこともあります。まず産婦人科の産後1か月健診で“ふつうの生活に戻っていいですよ”と言われたら歯科検診も受け、体調や気分によって治療内容や取りかかりの時期を相談しましょう。そのとき授乳中かどうかも忘れずにお伝えください。
 それまでは、お忙しくて大変でしょうけれども毎食後なるべく丁寧に歯磨きしてみてください。
 里帰り中はかかりつけの歯科医院を受診できないかもしれませんが、検診だけでも受けておかれるのも一つですね。

歯が生えてしまっています…

 お子さんの口の中の細菌を増やさないようにして、虫歯や歯肉炎を予防しましょう。むし歯の多いご家庭ではむし歯の多い子供さんが育ちやすいと言われています。これは歯の強さなど遺伝の部分など変える事のできない部分もありますが、ご家族の生活習慣などの影響も大きいのです。ご家族の歯に良い習慣は、お子さんの歯を守ることにも繋がります。

 検診を受けてしっかり治すだけでなく、この機会に歯ブラシや食生活の指導をうけて、むし歯菌や歯周病菌が増えないような習慣も身につけましょう。