介護保険における歯科の役割について

介護保険の認定(要支援、要介護1~5)を受けられた方が利用できる在宅サービスの中には、居宅療養管理指導という居宅を訪問するサービスがあります。居宅療養管理指導では医師や歯科医師、薬剤師などが居宅を訪問し、療養上の管理や指導をおこないます。

具体的に歯科における居宅療養管理指導とは、要介護者の口腔の状況により管理指導が必要な場合、(1)居宅介護支援業者等に対して介護サービス計画の策定に必要な情報を提供する事と、(2)要介護者とその家族などに対して介護サービスを利用する上での留意事項や口腔衛生に関する留意事項などについて指導、助言、管理 (口腔ケア) を行うことです。

要介護者にとって口腔ケアは非常に重要な位置を占めています。なぜならば、要介護者にとって口腔ケアの実践は口腔内の問題にとどまらず、全身との関係が深く、また口腔ケアそのものを実施していくことが健常者に比較して困難であることが多いからです。

口腔ケアの意義をいくつかあげてみますと、

  1. むし歯や歯周病の予防
  2. 口腔内細菌による二次感染の防止
    心臓病(感染性心内膜炎、狭心症、心筋梗塞)の予防、脳卒中の予防
    誤嚥による嚥下性肺炎の予防、糖尿病の悪化の予防、その他
  3. 咀嚼、摂食、嚥下、発音の機能の維持、回復
  4. 唾液分泌の促進
  5. 口臭の除去
  6. 歯肉からの出血の防止
  7. 口腔の痛みの軽減
  8. 口腔の状況の把握

したがって歯科における居宅療養管理指導により口腔ケアを受けることは、このようないろいろな効果を生み、基本的な生命の維持や家族や社会との関係の維持、食への意欲改善のきっかけにもなり、要介護高齢者のQOLの向上にも非常に有効な手段となります。

介護保険における介護施設側の算定項目として

  • 口腔衛生管理体制加算
  • 口腔衛生管理加算
  • 経口維持加算及び通所介護における口腔機能向上加算

があります。