歯科医院に治療に行くと「レントゲン写真を撮りましょう」と、レントゲン撮影をすることがありますね。このレントゲン撮影にはどんなものがあるのでしょうか?

 歯科医院で主に撮影するレントゲン写真は、撮影方法で大きく分類すると2つ。フィルムをお口の中に入れる「口内法」とフィルムがお口の中に入らない「口外法」です。

 口内法では一般的に、3本くらいの歯が収まる小さなフィルムをお口の中に入れて、外からお口の中のフィルムへX線を照射します。歯(虫歯など)、歯根、周囲の骨の状態などをみることができます。

 その他は口外法で、もっとも多いのは歯科ならではの、パノラマX線撮影と呼ばれる方法です。撮影装置が頭の周りをぐるっと回転して撮影し、上下左右の歯全体と周囲の骨も比較的広範囲に写し出します。

 また必要に応じて、頭部エックス線規格撮影法、顎関節投影法、歯科用CTなど様々な撮影方法があります。

口内法撮影例

パノラマX線撮影例

 さて、レントゲン写真を使って体の中をみるにはエックス線を使いますが、エックス線と聞くとなんだか心配になりませんか?ちょっと怖いイメージがあるかもしれません。では、実際にどのぐらいの放射線が照射されているのでしょうか?

(数値は一例です。機材や条件によって上下します。)

 放射線作業従事者の年間線量限度は、このグラフでは飛び抜けて大きいですが、いわゆる身体的症状が出る、とされる値よりも安全のためかなり厳しい設定となっている様です。歯科での診断用途の数値が小さすぎてはっきりしませんので、放射線作業従事者の年間線量限度は外して日本人の自然からの年間被ばく線量に着目して拡大してみます。

 自然からの年間被曝量と比較しても大変小さな値です。今度は、日本人の自然からの年間被ばく線量も外して大きく拡大して、日本—北米都市間飛行機往復と歯科でよく用いられるX線撮影を比較したいと思います。

 この様に歯科におけるレントゲン撮影では被ばく量は大きくありません。また、周囲への影響として、散乱線は角度によっては有りますが、定めた所よりずっと少ない線量しかありませんし、距離に応じて小さくなります。特に体内の離れた場所への影響という点では、体内を通っていくうちに大幅に減弱するとされています。胎児や精巣、卵巣に奇形や一時的な不妊といった障害が出る、とされている線量は、一度に100mSv以上受けた場合とされており、歯科で通常の診断に用いられる撮影では、元々の線量自体でも、ずっと小さな値となっています。

 

デンタル(小さいフィルムの撮影) 0.016~0.039 mSv
パノラマ(顎全体の撮影法) 0.039~0.043 mSv

ちなみに、他のレントゲンなどではどのぐらいかというと

胸部撮影 0.13~0.29 mSv
腰椎撮影 0.78 mSv
胃の透視 4.15 mSv
自然放射線(一年間) 2.40mSv

(※放射線の線量はSvで表されます。)